事例2:やりたいことや天職が、人間関係を満たす手段になっている。

本当に求めている「体験」に目を向けてみよう。


次にご紹介するのは、ご本人が「本当にやりたいこと」や天職を求める理由が、実は、身近な人間関係のなかにある、という事例です。


別の表現をすると、

身近な誰かに認めてもらったり、

身近な誰かと対等に付き合えるようになったり、

身近な人間関係のなかで満ち足りた経験をするための手段として、

「本当にやりたいこと」や天職を求めている事例、といえるでしょう。



その場合、ご本人は心のなかで

  • 本当にやりたいことをやっている自分になれば、この人(身近な誰か)に認めてもらえる
  • 自分に天職があれば、周りの人と対等に付き合うことができる

といったことを考えています。


  • 本当にやりたいことをやって、付き合う人を変えれば、今のように人間関係で思い煩うことはなくなる
  • 今の職場の人間関係が耐えられないから、本当にやりたいことを見つけて独立したい・転職したい

という人もいます。


ここまで読んでみてお気づきかと思うのですが、こうした事例の場合、ご本人が本当に望んでいるのは、「本当にやりたいこと」をする人生や、天職に出会うことではありません。

人間関係のなかで満たされることです。


ここまでの話がどのくらいピンときますか?

今こうして質問するのは、自分が本当は何を求めているのか、自分でもわからなくなっている人が思いのほか多いからです。



「本当にやりたいこと」をして生きるにせよ、天職を仕事にするにせよ、自分が今何を感じているか、自分でわかる必要があります。

そもそも、今何を感じているのか自分でわからない状態で、「本当にやりたいこと」や天職に出会っても、「これがそうだ!」とはわからないでしょう。



人間関係に求めているものは何?


ここまでの話を聞いて、モヤモヤしたり、落ち込んだり、何か思い当たる節があったら、自分は人間関係に何を求めているのか、心に問いかけてみてください。

漠然と問いかけてもいいし、パートナーや家族、職場など、特定の人間関係について、問いかけてみてもいいです。


今、本当に望んでいることがわかれば、あなたの人生の、現時点での優先度が明確になります。

はっきり自覚できれば、本当に大切にしたいことを大切にしながら生きはじめることができます。



もし仮に、自分が本当に望んでいるのは人間関係で心が満たされることだ、と気づいた場合、

たとえば、

この人に認めてもらいたい、ほめてもらいたい、

この人に大切に扱ってもらいたい、

この人と仲良くなりたい、わかりあいたい、

…といった望みがあることに気づいた場合は、まずそれを「適切に扱う」ことからはじめるのが一番です。


望みを「適切に扱う」とは、なぜ自分がそれを望むのかをよく見てとって、望みの奥にある本当の気持ちを読み解いていくことです。

それがわかると、望みがすでに叶っていることに気づいたり、望みが消えてしまったり、形が変わったりします。


特に、人間関係に関しては、望みの奥にある本当の気持ちに気づいた途端、望みや課題が消えてしまうことがほとんどです。



本当の気持ちに気づくと、人生が動いていく。


参考までに、私が実際に見てきた事例を、いくつかご紹介してみます。


職場の人間関係に大きなストレスがあるので、転職するか、ずっと続けてきた好きなことを仕事にして独立したい、と言っていた人がいました。

その人は、心のコソ練を続けていくうちに、「自分は、一つのことに集中するよりも、いろいろなことにバランスよく取り組む方が快適に過ごせるのかもしれない」と気づきました。そして、ごく自然な流れで、「もうしばらくは今の職場にいる」という選択をしました。

しばらくすると、職場のストレスはいつの間にか消え去り、快適に働けるようになりました。同時に、それまで続けてきた好きなことにも、心地よく集中できるようになりました。


パートナーやお子さんとの関係が幸せに変わったことで、ずっと続けてきた「やりたいこと探し」が終わった、という人もいます。

その人は、心のコソ練を通して、「自分は、家族のことを本当に大事に思っているんだ」と気づきました。その気持ちを表現していくうちに、その人のご家族は、互いを心地よく応援しあえる関係になりました。

やがてその人は、ごく自然に、自分のやりたいことをみつけました。今は、家族に協力してもらいながら、一歩ずつ前に進んでいます。


「自分の強みを見つけなければ…」と思っていた会社員が、今の会社ですでに自分の強みを発揮していることに気づいた、という事例もありました。

その後、その人は、今の会社の人間関係の良さがよくわかるようになり、一時的なトラブルがあったとしても、上手に対応しているようです。



このように、望みの奥にある本当の気持ちに気がつくと、あなたの心が自然に整います。

それに呼応するように、あなたを取り巻く人間関係も変わっていきます。

その状態で改めて、自分のやりたいことや天職について思いをはせても、遅くはありません。


逆に、人間関係についての望みより、自分のやりたいことや天職を大切にしたいのだ、と心底思えれば、人間関係の課題に必要以上のエネルギーをつぎ込むことはなくなるでしょう。



本当の気持ちを自覚するだけで、かなり幸せになれる。


ここまでお話ししてきたように、現時点での優先順位をはっきりと自覚できると、それだけで心が落ち着ついて、晴れやかな気持ちになれます。

自分の気持ちを自覚できただけで、「十分幸せだ」、「自分が本当にやりたいことがわかった」と感じられる人もいます。


自分の本当の望みがわかると、行動や言動が自然に変わっていきます。

それにともなって、あなたの周りの人間関係も自然に変わっていくことでしょう。



このコースでは、本当の望みに気づくための練習、本当の望みに従って動きだせるようになる練習を、具体的にご提案していきます。

日常生活の小さな題材を使って練習を重ねていくと、人生の転機や本当に大切な場面でも、本当の望みに気づき、確信をもって動き出せるようになります。


必要以上に勇気を出すことなく、静かな確信に基づいて淡々と動いていく感覚が身に着いていきますので、人間関係はもちろん、お仕事やビジネス、目標や願望の実現にも応用していただけます。



●ワンポイントワーク●

このレクチャーを読んで、どんなことを感じましたか?

あなたは今の人間関係について、どのくらい満足していますか?

「こうなったらいいな」と思う部分は、あるでしょうか?

完了して続行  
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